「お仕事は何ですか」と、私たちは普通に尋ねます。
翻訳者にも専門が何かを尋ねてください。
まったく知識のないことについて、何かを書けと言われたら。たとえそれが自分の母語であったとしても、まず無理な相談でしょう。
エンジニア、化学者、広告関係などなど、それぞれの分野には、それぞれの専門家がいます。
翻訳でも同じです。「外国語を話せる」イコール「内容を理解できる」ではありません。専門性の高い文書であれば、書かれている言語が読めても、内容が理解できるかどうかは別問題です。ごく日常的な文章でない限り、翻訳者は、言語と専門分野の双方に精通している必要があります。
専門があるということは、経験が豊かであることも意味します。商品の製造工程に実際に関わったことがあり、問題点やその回避のしかた・解決のしかたを熟知している翻訳者と、経験もなく、よく分かっていない翻訳者のどちらが信頼できますか? 前者からは確かなサービスが期待できますが、後者であれば、翻訳プロジェクトを進める前に基礎知識の指導が必要になるかもしれません。
専門分野に精通した翻訳者を探すなら、プロ翻訳者団体のウェブサイトが役立ちます。例えば、イギリスの 英国翻訳通訳協会 (Institute of Translation and Interpreting, ITI)、アメリカのAmerican Translators Association、日本の 日本翻訳者協会 (JAT)、もしくはInternational Federation of Translators (FIT)をご覧ください。