翻訳とローカリゼーションでは、注意に注意を重ねることが必要です。予想外の問題が隠れていることもあるからです。

アジア料理のレシピを日本語から英語に翻訳していた時のこと。それぞれの材料について、イギリス国内のアジア食材店ではどう呼ばれているか、合わせてチェックして欲しいと頼まれました。レシピには中国、韓国、その他の国々の食材がいろいろ載っており、日本語で書かれたレシピとイギリスのエスニック食材店では、材料の名前に違いがあるかもしれないからです。そして、イギリスで手に入らない材料には、一般的な名前または簡単な説明をつけることになりました。

ところがすぐに、別の問題がもち上がりました。あるレシピで使われていた材料が、原産国では季節もののよくある野菜だったのですが、調べてみたところ、英国では発がん性の疑いがあるとして販売が禁じられていたのです。

料理レシピのように、一見して何の問題もなさそうな文書でも、翻訳にあたっては国ごとの事情に注意を払わなければなりません。